セカンドルネサンスを
喚び起こす
Artics ミッション

私たちは『セカンドルネサンス』を喚び起こすことで、精神的豊かさに満ちた未来を創造します。
我々は過去4年間活動していく中で、ミッションとして「セカンドルネサンスを喚び起こす」というのを掲げています。
歴史的に人類社会が大きな発展を遂げた瞬間を振り返ると、文化革命が、社会制度や技術の革命の前に先行していたと考えます。私はAI革命の次の巨大トレンドは、ルネサンスのような文化革命だと思っており、そこに人生を賭けて貢献したいと思っています。
文化革命はアーティストによって引き起こされます。社会環境が変化していく中で、アーティストはその時の社会に対して、人々が抱える不安や葛藤、もしくはそれを乗り越えるための新しい価値観のような抽象的なものを、具体的である、音楽や絵、哲学書のような作品に落とし込むこむ能力や社会的役割があると思っています。そして、作品には人々の感情を動かす力があるので、そのメッセージに共感した人々が動き、似た思想を持つコミュニティを形成し、その新たなコミュニティに最適化された技術や社会制度の適応が起きる。そのように社会は発展してきたと思っています。

ルネサンスとは?
では、なぜ私たちは今、セカンドルネサンスが起こると考えるのか。それは、一言で言えば、当時の状況と非常に似ているからです。
1300年頃、ヨーロッパの人々は深刻な苦しみに直面していました。
キリスト教の権威が強まり、人々は「死後の救済」「教会に奉仕することの意義」といった問いに悩まされていました。当時の幸福の尺度は、人間の自然な感情や欲求を否定するもので、多くの市民が自分自身の内に矛盾を感じていたのです。
その鬱屈がやがて爆発し、人間性の再評価と復権の瞬間が訪れました。これが、ルネサンスと呼ばれる文化運動です。
東方との貿易によって新たな価値観がもたらされ、人々の文化は大きな刺激を受けました。さらに、貿易で富を築いたパトロンたちは芸術家を支援し、芸術家たちは当時の社会が抱える葛藤を作品として表現しました。これらの作品は、同じような葛藤を抱える人々を結びつけるとともに、政治や経済など社会制度に影響を与え、人類の本質的な発展に貢献したのです。
なぜ今、ルネサンスが必要なのか?
2024年、社会は大きく発展しました。しかし、その結果、人々は本当に幸せになったのでしょうか?
人間は空を飛び、世界中の誰とでも会話できるようになりました。しかし、この物質的豊かさを支えた資本主義という価値観の下で、新たな幸福の基準として金銭的成功や利益追求が強調され、人間性が薄れているように感じます。
かつて貿易が従来の価値観を揺さぶったように、現代ではグローバル化やSNSの普及によって、多様な価値観に触れる機会が増え、従来の物語が崩れつつあります。この100年間、経済成長と物質的発展が幸福な社会を実現する鍵だと信じて我々人類は突き進んできました。その結果、多くの素晴らしい成果を得た一方で、欧米社会では分断や孤立が進み、自殺率は増えています。今後の100年間、何を目指して幸せを築けばよいのか、多くの人が見失っている状況ではないでしょうか。
そして、ルネサンスがペストを契機に開花したように、コロナ禍は信頼の基盤をさらに揺るがしました。加えて、AI革命により労働が機械に代替される中で、「自分たちは今後何をすべきか」という不安が広がっています。
特に資本主義の象徴ともいえるアメリカで現地の人々にインタビューを行うと、この不安を非常に強く感じます。同時に、自分が信じることのできる、多様で自分に合った文化を求める人が増えていることにも気づきました。
技術の面でも、ルネサンス期の活版印刷のように、文化革命を起こすための表現手段が絶妙なタイミングで革新されています。生成AIの登場は、人間の創造性を理解し、最大化する上で非常に高い相性を持つ技術だと考えています。
そのため、私たちはセカンドルネサンスの台頭を後押しするため、当時のパトロンが芸術家を支援したように、現代のアーティストが自己表現を爆発的に発揮できる技術を提供したいと考えています。特に、市場規模や影響力が大きい音楽の分野に応用することで、新しい価値観を生み出し、より豊かな未来を築く一助となることを目指しています。
どのように実現するか
そのため、私たちが目指すのは、アーティストの代わりに音楽を生成したり、創作の喜びそのものを奪ってしまうようなAIではありません。むしろ、ミュージシャンが自分自身と向き合い、自分なりの表現を追求できるようサポートするAIです。アーティストが作成した音楽を深く理解し、適切な感想やインスピレーションを返せるAIを開発することで、より大きなビジネスニーズに応え、社会的にも重要な役割を果たせると考えています。
こうした仕組みによって、アーティストは創作そのものの喜びを存分に味わいながら、結果的に社会を動かすような質の高い、多様な作品が次々と生まれることを期待しています。
私たちは、AIを活用した音楽理解の技術に注力することで、現代社会が抱える葛藤や悩みに苦しむ多くの人々を救い、セカンドルネサンスを必ず実現したいと考えています。そして今回のルネサンスは、ルネサンス期のイタリア同様、文化大国である日本から、日本人の手によってそのムーブメントを花開かせたいと願っています。
日本から世界へ
私たちは、日本という国の文化的独自性が、セカンドルネサンスを起こす上で非常に重要な役割を果たすと考えています。
日本は、大陸から程よい距離に位置する、豊かかつ厳しい自然に囲まれた島国という特異な地理的条件のもとで発展し、アニミズム精神に基づく多様な価値観を受け入れる柔軟な文化と社会構造を育んできました。このように多様な真理やイデオロギーが共存できる国は世界的にも稀であり、日本は地理的背景に根ざした強い優位性を持っています。たとえば、クリスマスにはキリスト教を祝い、葬儀は仏教式で執り行い、初詣には神社を訪れるといった生活習慣にも、この多様性が現れています。
一方で、西洋社会は歴史的にキリスト教の影響を強く受け、神と人間、善と悪といった二元論的な世界観で発展してきました。しかし、現在の世界では価値観が多様化し、複数のコミュニティが共存する時代に突入しており、従来の二元論的な解釈では対応しきれない課題が増えています。こうした西洋社会の構造的な問題について、多くのアメリカの若者とのインタビューを通じて痛感しました。特にカリフォルニアでは、リベラルと保守という二元論に縛られ、その間の曖昧さが許容されにくい現状が見受けられます。このため、混沌に苦しむ人々が多いように感じます。
日本の多様性への寛容さは、アニメやその他のコンテンツにも深く表れています。日本国内向けに制作されたアニメ作品は、ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)に縛られることなく、時にカオスな表現を含みますが、そこには敵が味方になるような意外性や、さまざまな哲学や人生観が反映されています。これらの表現が多くの人々に共感を呼んでいる理由は、日本が持つ多様性を受け入れる土壌にあると言えるでしょう。特にアニメが人気を集める地域を見てみると、イスラム圏やアメリカのカリフォルニアなど、二元論に悩む人々が多い地域で高く消費されている点は、偶然ではない気がします。
私たちは、日本人として自分たちの中に深く根付いたこの日本の思想や価値観を活かし、世界の文化的多様性を広げ、新たな価値観を創造するために貢献していきたいと考えています。

共に、ルネサンスを
私たちは、新たな文化の息吹を創造し、セカンドルネサンスを実現するために挑戦を続けています。この挑戦は、単にアーティストやクリエイターを支援することにとどまらず、社会全体に多様な価値観を根付かせ、人々がより生きやすい未来を築くことを目指しています。
私たちの活動の根底にあるのは、「表現の力を信じる」という信念です。創作を通じて自分自身の価値観や葛藤を表現し、それに共感する人々がつながり、新しいコミュニティや社会制度が生まれる。こうした動きを、テクノロジーと文化の融合によって加速させることが、私たちの使命です。
この挑戦を共にする仲間を探しています。自分らしい価値観を形にしたいと願うすべての人、そしてその過程をサポートしたいと考える方々と手を携えたいと思っています。
あなたのアイデアや感性が、次のルネサンスの火種になるかもしれません。多様な価値観が交差し、共鳴する社会を、一緒に築いていきましょう。